僕のうさぎさん

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家に帰ることもできず、僕は町の中をぶらぶら歩いていた。大きなショッピングセンターに入ろうとする、おじいさんとおばあさんの後をついていく。お店の人からは僕はおじいさんとおばさんの孫だ思われるだろうと思った。本当は全然知らない人だけど。 子どもが一人で歩くのはまわりの大人が気にする。公園で遊んでいても、あら、元気ねって顔をしながら危ないことをしないか見張っているんだ。お父さんとお母さんが話しているのを聞いたけど、どうやら公園には『防犯カメラ』がくっついているらしい。僕たち子どもは大人だけじゃなくて警察にも見張られてるんだ。 僕はおもちゃ売り場がある2階へ向かう。車や電車、大好きなアニメのキャラクターのゲーム、つみき、音の出る変な人形。赤や黄色の、緑色、クレヨンでぬりたくったような色のつみき。いつもなら遊んでいくけど、今日はあっさり通り過ぎていく。 「みつけた」 カナちゃんが持っていたうさぎのぬいぐるみ。真っ白でふわふわで、遊ぶときはいつも持ち歩いてた。僕が話しかけてもうさちゃんにずっと話かけてる。ねえ、うさちゃんって、僕が話しているのに、うさぎのぬいぐるみに意見を聞いたりする。ブランコに乗る時も、すべり台をすべる時もいつも一緒。だから僕は言ってやったんだ。うさぎのぬいぐるみなんかと、仲良くしてもしょうがないだろって。そしたらけん君とはもう遊ばないって、うさちゃんと遊ぶから良いんだって言うんだ。腹が立って、うさぎの耳をひっぱたら破れちゃった。
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