僕のうさぎさん

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「うさぎ?」 真っ白な大きなうさぎが僕の隣に立っている。着ぐるみをきた大人だと思ったけれど違った。大きな大きな真っ白なうさぎが、僕の顔をのぞきこんで首を傾げる。真っ赤な目がきらっと光った。 「こんなところでどうしたの?」 「僕は、僕は……あれ?」 大きなうさぎからちょっと顔をずらすと、そこはおもちゃ屋さんじゃなかった。子どもたちもいないし、おもちゃの音もしない。大きな木がたくさんある静かな森の中だった。 僕、どこに来ちゃったんだろう。 どうしてここにいるのかわからない。僕はおもちゃ屋さんにいたのだから。困っているとうさぎがそばまで寄って来て、突然僕のことを抱き上げた。僕は慌てておりようとするけど、力が強くてうさぎの腕からおりることができない。困ったような顔をすると、うさぎがぎゅっと僕を抱きしめた。 「何か悲しいことがあったんだね?で大丈夫。大丈夫だよ」 僕を小さな赤ん坊のように揺らしてる。僕は赤ちゃんじゃないと叫ぼうとしたけれど、あんまり気持ちよかったからそのままうさぎに寄りかかった。そうしている内に心の中がわっとあったかいものでいっぱいになる。水がいっぱいたまったバケツのような気分だった。 「ごめんなさい。ごめんなさい」 カナちゃんに言えなかった言葉が、ぽろっと口からこぼれる。いっしょに涙がぽろぽろこぼれた。
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