ワークブーツに愛されて

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「だけどね、ご主人様の心は……この愛は、私に向けられているの。あなたが気付いたとおりにね。残念だけど、それは譲れないわ……」 「いや、ちょっと待っ……」 「いいえご主人様。何もおっしゃらなくて大丈夫です。私にはちゃんと伝わっております」  右子、お前もか。  何も伝えようとしていないんだから、伝わるわけないだろ……。 「ええ、ここまで来たらもう隠せませんわ。私達の関係性について、今日こそここで公表しましょう」  頬を染めるな。  瞳を潤ませるな。  履物とそれを履く人という以外の何物でもないんだから。 「いやだ!! ご主人様、ボクを見捨てないで。ボクにもご主人様の愛を頂戴!!」  ちょ、左子。反対側に来て反対の手を握らなくていいから。 「ダメよ、ご主人様は私の物なんだから」 「いやだよ。ボクだってご主人様の靴だもん。愛されたいんだよ!!」  こら、両側から引っ張るんじゃない。  イテテ、凄い力だな。 「二人とも、痛いよ」 「ほら、痛がってますわ。離してください」 「そっちが離せよ。ボクは嫌だ!!」  痛い痛い。ちょ、マジでやめて。  見た目は幼女だけど、さすがはワークブーツ。がっちりしてますってか?   いや、そんな事言ってる場合か。 「ご主人様はボクの物だ!!」 「ご主人様の愛は私だけの物よ!!」 「離してくれ、お願いだから。痛いんだってば!!」  胸も腕も痛いんだよ、マジで。限界。人体は伸びるようにできていないから。 「いやだ!!」 「いやですわ!!」 「痛いやめろ離せぇぇぇ!!」
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