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さて、その朱雀教授なのだがこの2週間ばかりの冬休みの間に殺害されてしまったのだ。
それも、全身を11の部位にバラバラに解体されて。
「法学部の先生方は大慌てらしいな。なにせ朱雀教授は院の方だけじゃなく、他の学部の授業も持ってたから、調整に手間取ってるんだろうよ。ゼミの方も指導教授がいなくなったんじゃあ存続が危ういしな」
他人事のように―――実際俺自身は朱雀教授の講義を取っていたわけでもなければ、ほぼほぼ他人事な訳なのだが―――言ってのける俺に対して芽玖璃は少し冷たい目を向けるが、直ぐにまた手元のスマホへと視線を落とす。
これは‥‥‥失敗か? そう思った瞬間、
「それで―――巻き込まれたってどういうこと?」
なんと、芽玖璃から先を促してきたのだ。これはイケるのでは?
人の死をネタにしてナンパ計画を遂行することに若干の負い目を感じるところではあるが、ワイドショーはそんなセンセーショナルな事件をメシのタネにして視聴率を稼ごうとしているわけだし、それを見る世の人たちは顔も見たことの無い被害者と容疑者たちに想いを馳せながら好き勝手妄想して娯楽として消費するのだから、これぐらい許されてしかるべきだろう。
そんな言い訳と共に、心の中で朱雀教授の冥福を祈りながら俺は事件のあらましについて語り始める。
「コトは年明けの1月4日から始まるんだが―――」
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