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はなはだ自分でも言っていて疑問しか感じないが、これがナンパ経験ゼロの自分が絞り出せる唯一の「ナンパっぽい切り出し方」なのだから仕方ない。口説きの手管少なすぎないか俺。
「―――割石芽玖璃」
意外にもこの「ナンパっぽい切り出し方」は効を奏したようだ。相変わらず視線はこちらに向けてくれないが、名前を訊きだすことには成功した。
まずは一歩進展だ。では次のステップに進むとしよう。
「へえ、芽玖璃ちゃんかあ! かわいい名前だね! あ、そうだ! ねえねえ、俺とLINE交換しない?」
次は「SNSでつながる」作戦。せっかく名前を訊きだしたのだから、ここだけの関係で終わってしまってはもったいない。確実に関係性を維持できるモノを持っておかなくては。
「今は無理‥‥‥」
「え、ああそう‥‥‥?」
しかしそんな俺の企みは彼女の拒否の言葉で呆気なく潰える。名前を訊きだすところまでは順調だっただけに唐突な拒絶に思わずそれまでのチャラ男ムーブにひびが入る。しかし、ここで引くわけにはいかない!
「じゃ、じゃあさ‥‥‥Twitterのアカウントは‥‥‥」
「だから今は無理」
心なしか拒絶が早くなっている気がする。かなり食い気味での拒絶だ。ならば最後の手段―――
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