人魚は歌った

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人魚は歌った

死ぬのにどうして人間は歌うの 人魚は言った 人間は訝しんだ 死ぬものは歌を歌う必要がないと? だって人間は何もしなくても体が残るのでしょう 人魚は死ぬその日まで、一日も欠かさず歌を歌えばウロコが残るの そうでなければ何も残らず、海の泡へと早変わり だものあなたたちは歌う必要なんてないじゃない そうは言うけどね、人間に残るのは骨だよ 骨は白くて、スカスカしていてウロコみたいにきれいじゃない 私見た事あるわ、人間の骨 つやつやで細かく砕けるとふわふわ舞うの 人間にとってのウロコね とっても素敵 ねえ、やっぱりあなたも歌を歌っていてね、だってその方がうんときれいなウロコが残るもの、体は歌を聴いているのだから…… いつかあなたのウロコを集めさせて
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