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私は怪物、お前は人間
「告解は?命乞いでもしてごらんなさいな。」
女は足を組んでつまらなそうに聞いてくる。
肘掛に頬杖をついて、私の言葉を待っている。
「つまらない人間、何にも私に与えてくれないのね、ひどい生き物。」
無茶なことを言う、終わらぬ生を謳歌する生き物は言うことが違う。
そも、生きているのだろうか?
「お前はそもそも生きているのか、死んでいるのか。」
「生きているさ、こんなに退屈なんだ、生きているに決まっている。」
幾分声を弾ませて女は言う。
「この退屈の幕をお前が切ってくれ、血肉をばらまいて派手な舞台を盛り立ててくれ。」
楽し気に女が笑う、倒れ伏す私を新しく買ってもらった金魚のように眺めている。
私は果たし人間らしく死ぬことができるのだろうか?
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