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「入江さんって俺と趣味が合うと思うんだよね。実は前に忘れ物を取りに行ったとき、美術室で入江さんの絵を見たことがあるんだ。
なんかこう、人間の闇を煮詰めた感じですごく良かった。こんな絵を描くなんて入江さんはいつも何を考えて生きてるんだろうと思った」
絵を見られてた?私の内臓を丸ごとぶちまけたみたいなあの絵を?体から血の気が引いていくのがわかりました。
青ざめる私に構わず木戸君は続けます。
「俺さ、ストレスが溜まると、近くにいる人間の弱みを探すんだ。みんな何かしら問題持ってるからそれを調べて不意打ちで突き付ける。突き付けられた時の人間の顔を見ると、すっと心が軽くなるんだ」
木戸君は好きなテレビ番組の話でもするかのように、明るく話します。
「木戸君」
「ん?」
「つまり、今までうちの学校で起こってた事件は木戸君が起こしてたってこと?」
信じられない思いで聞くと、木戸君はあっさり頷きました。
「そうだよ。佐山さんや遠野の写真流したのも、初田をけしかけて万引きするとこ撮影したのも俺」
意識が遠のくような気がしました。
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