消えない影は鏡を探してる

「入江さんも俺と同じような気持ちでしょ？あの絵を見てわかったよ。そうじゃなきゃあんなもの描けない。入江さんも一緒にさ、みんなの罪を暴こうよ」

「罪を暴くって、さっき楽しんでるみたいなこと言ってたじゃない」

「確かに楽しんでやってるとこはあるけど。でも考えてもみてよ。佐山さんは援助交際の、初田は万引きの罪を認められたし、遠野は中学の時の苦い経験を晒されて少しは落ち着いただろ。みんなのためにもなってるんだ。

河原だってはっきり罪を自覚する機会があった方がいいんじゃないかな」

さっき初田さんの万引きをけしかけたって言わなかった？言いたいけれど、木戸君の勢いに押されて言葉が出ません。

「入江さんは相談に乗ってくれるだけでいいから。例えばほら、このプリントどうやって配るのが一番効果的だと思う？」

きらきらした目で尋ねてくる木戸君が怖くなりました。早くコンピューター室から出ていきたい。誰か来てくれないでしょうか。