消えない影は鏡を探してる

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*** 朝は毎日やってきます。来てほしくない明日が来てしまいました。 教室に入るとすでに木戸君が来ていました。 「おはよう。入江さんっていつもこんなに早いの?」 「うん。……木戸君はいつもぎりぎりに来るのに珍しいね」 「入江さんが早く来るかと思って待ってたんだ」 そう言って木戸君はプリントの束を取り出しました。 「考えてくれた?俺、入江さんが協力してくれたらすごく心強いんだ。同じような考えの人間がいるってそれだけで安心するから」 木戸君の目は期待に満ちています。私はこういう目に弱いのです。誰かから期待されると、それを裏切る自分がとても悪い人になった気がしてしまう。
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