消えない影は鏡を探してる

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*** 私の名前は入江梨央(いりえりお)といいます。平凡過ぎるくらい平凡な高校生です。今年の4月から、木戸祥吾(きどしょうご)君と一緒にクラス委員をやっています。 本当はクラス委員なんて嫌でしたが、先生にみんなの前でやってくれないかしらと頼まれて、時間も押していたし周りももう私でいいじゃないかという雰囲気になっていたので、断れませんでした。 周りで梨央ならぴったりじゃん、そうそう委員長って感じなんて調子のいいことを言ってくる友達を恨めしく思いながら、先生の言葉に頷きました。 一学期ももうすぐ終わるというのに、いまだに委員長なんて呼ばれるのになれません。たかだかクラス委員長とはいえ、「長」という言葉は苦手なのです。 ふと教室の前の方で友達と楽しそうに話している木戸君が目に入りました。 木戸君は私とは違い委員長にぴったりの人です。勉強も運動もできて、先生からの信頼も厚い。クラスのみんなが木戸君に一目置いています。
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