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第7戦:鬼獣闘戦
この世に生まれ落ちた時から生きる道は決まっていた。自分の意志なんて関係なかった。言われた通りに,命じられるがままに生きることを運命づけられていた。
初めて任務で人を殺したのは七歳の時だった。あの時のことは今でも鮮明に覚えている。対象は人身売買を行う組織のリーダーでありペドフィリアの男とその他の組員だった。
初めての暗殺は完璧だった。誰一人逃すことなく任務を完遂できた。ただ一つミスがあったとすれば,それは殺人を躊躇してしまったということだろう。初めての実践だからといってそんなことは許されない。もしも失敗すれば,代々培ってきた信頼も名誉も崩れ去ってしまう。共に任務に就いていた姉からは説教をされた。普段は一切起こることがないからこそ,より恐ろしかったことを覚えている。
その一件以来人を殺すことを躊躇することはしなくなった。純粋だったのだ。純粋故に期待に応えねば,迷惑をかけないようにしなければと自分の心をどこかへ捨て去ってしまったのだ。。
だから殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺し続けた。赤子だろうが妊婦だろうが関係なく殺し続けた。
そうして機械のように命じられたことをこなして生きる彼女に転機と呼ぶべきか,神からの呼び出しがあった。
最後の一人になるまで殺し合え―――それを聞いた時,驚きはあれど戸惑いはなかった。何故ならそれは日常の延長でしかなかったから。異種族だろうと何だろうと『殺せば死ぬ』というのならば今までと何も変わらない。
彼女は神の言葉に従った。天恵を授かり,命じられた通り最後の一人になるまで戦う―――はずだった。
あの少年と出会うまでは―――
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