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ガウルは首のないリルの死体を貪りながら海を眺めていた。
正確には海に浮かぶ一つの物体―――カルメールの死体を。
「……クソが!」
その言葉が誰に向けた言葉なのかガウル自身分かっていなかった。
決着がつかないまま死んでしまった鬼人に対してなのか,それとも手元にある平和主義者に対してか,はたまた自分に対してか―――
答えの見つからぬまま,死体を喰らっていると何処からか爆発音が聞こえた。
それはどこかで戦闘が起きている合図。
ガウルはリルの死体を海に投げ捨てると走り出した。
その表情は歓喜に満ち溢れていた。だがその背中はまるで死に場所を求める獣のようであった。
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