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堀辰雄
生涯にわたってどのような読書の仕方をして、どのようなものを選んで読んで来たのかによって、その人の人となりが、わかるというものです。
おれの父は、おそろしく読書をしない無教養な人でした。
(それでも将棋と麻雀は強かったらしいですが)
プロ野球が好きだったので、よくスポーツ新聞は読んでいましたが、本と定義できるものを読んでいるところを一度も見たことがありませんでした。
しかし、おれが小学校の2年生になると、特別に注文したのか、2つの段ボール箱いっぱいの童話やらの本が届きました。
おれはとても感激し、夢中になってそれらの本を何度も何度も読み返しました。
父が、まだ小学校2年生のおれを読書好きだと判断したのか、それとも読書の大切さをわかっていて、それほどの童話やらの本を注文したのか、もうたしかめることもできませんが…
堀辰雄は、「聖家族」にラディゲ、「美しい村」にプルースト、そして「風立ちぬ」にリルケというふうに、他の文学作品を跳躍台に利用して「本によって本を書く」という方法を試みました。
そのことは、師匠であった芥川龍之介の王朝文学との関わりにも影響があったようです。
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