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そして、「風の歌を聴け」は、再び、ハートフィールドの言葉を使って閉められます。
宇宙の複雑さに比べれば
この我々の世界などミミズの脳味噌のようなものだ
繰りかえしになりますが、おれは大学生の時にはじめて「風の歌を聴け」を読み、その後、ときおり何度か読みかえしました。
しかし、愚かにもつい先日まで、この「僕」が文章について多くを学んだというデレク・ハートフィールドが、架空の作家だということに気づきませんでした。
Googleで、「デレク・ハートフィールド」を検索すると、村上春樹の小説「風の歌を聴け」の中に登場する架空の人物。
主人公の「僕」が最も影響を受けた作家として登場する、とありました。
たしかに、大学図書館にハートフィールドの本を読みたいと学生のリクエストがあったという逸話は存在します。
しかし、おそらく多くの読者は、デレク・ハートフィールドが、村上春樹が生み出した架空の作家だということに気づいたはずです。
10数年も騙されていた愚かな自分に、思わず笑ってしまいました。
こんなに長い間、信じていた人間なんておれぐらいだろう
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