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永遠のかなたに
梅雨の合間の紺碧色の空に、星がかすかな希望のようにほのかに小さく輝く夜でした。
10日振りぐらいに、自宅のあるJRの駅に降り立ちましたが、もう夜の23時を過ぎていたため、他に数人の乗客が降りただけでした。
愛犬シーズーのシーを入れたネイビー色の大きなキャリーバッグを引きずりながら、ホームの東側にあるエレベーターへ向かいました。
灰色のホームの黄色い視覚障害者誘導用ブロックに沿って歩きながら、ふと視線を暗闇にほのかに浮かぶ線路に落としました。
等間隔に備えられた枕木の上には、並行に冷たい鉄のレールが暗闇に吸い込まれるように延びています。
深夜に、このような冷たい鉄のレールに身を横たえ、電車がやって来るのを待つとしたら、どんな気持ちになるのだろう。
それは本当に、あまりにも静粛過ぎて、自分の呼吸や心臓の音だけが聞こえるのかもしれません。
原民喜は、深夜の線路に身を横たえ、列車に跳ねられました。
広島の原爆の惨状を描いた「夏の花」を読んだ時に、彼がどんな人生を送ったのか気になりました。
彼は45歳の時、大量の酒を飲んだあと鉄道自殺をしていました。
ほとんどの人が、その名前すら聞いたこともないであろう詩人・小説家の原民喜…
彼をいつどのようなきっかけで知り得たのかもう思い出すことはむずかしいのですが、以前、取り憑かれたように読んだ新潮文庫の「夏の花・心願の国」を数年ぶりに手に取って、あらためて巻末の解説を読み返してみました。
「解説 ー原民喜と若い人々との橋のために」と題されています。
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