新しい人よ眼ざめよ

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新しい人よ眼ざめよ

太宰治と双璧と言っていいほど強い影響を受けた小説家は、大江健三郎です。 恐れおおい話しではありますが、大江健三郎の小説の核となるものと、おれのめざす小説の核となるものは似ているような気がします。 ではその核となるものはいったいどういうものか? それについても恐縮ですが、おれの小説を読んでいただければと思います。 ご存知のとおり大江健三郎は、1994年に日本人として2人目のノーベル文学賞を受賞し、現代日本文学の頂点にたつ小説家の一人です。 しかし残念ながら、村上春樹とは違い、若者を中心にほとんど読まれていないのが現状のようです。 おれが最初に大江健三郎の小説を読んだのは、大学の英文科の女性先輩から勧められた「新しい人よ眼ざめよ」でした。 その先輩も、英文学の授業で教授が絶賛し勧められたそうです。 大江健三郎は、難しいとかわかりにくといったイメージがあると思いますが、その圧倒的な想像力には非常に驚かされます。 文章も長文の傾向が強く理解しづらい面もありますが、そのひとつひとつの表現は豊潤で詩情豊かです。 最初に「新しい人よ眼ざめよ」を読んでとても感動し、それから夢中になって代表作の長編を、分厚い文庫本で次々と読みました。 「万延元年のフットボール」「洪水はわが魂に及び」「同時代ゲーム」等々
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