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「新しい人よ眼ざめよ」は、実際の大江健三郎の頭に障害をもって生まれた長男が、20歳を迎えた記念に執筆された小説です。
イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクの詩を多く引用しながら、幼児の呼び名のイーヨーと呼ばれる長男が、20歳を迎え本名の光さんと呼ばれるまでの姿が描かれています。
おれもちょうどイーヨーと同年代でしたので、この「新しい人よ眼ざめよ」を読み終えた時、イーヨーから成人した光さんとともに、得体の知れない世の中や人間社会に怯むことなく、《新しい人として眼ざめなければならない》と強く感じさせられたものでした…
大江健三郎については、これからもまたこのエッセイで取り上げたいと思っておりますが、最後に「新しい人よ眼ざめよ」で引用されたウィリアム・ブレイクのとくに印象的だった詩を紹介させていただきます。
《眼ざめよ、おお、新時代の若者らよ! 無知なる傭兵どもらに対して、きみらの額をつきあわせよ! なぜならわれわれは兵営に、法廷に、また大学に、傭兵どもをかかえているから。かれらこそは、もしできるものならば、永久に知の戦いを抑圧して、肉の戦いを永びかしめる者らなのだ。》
《惧れるな、アルビオンよ、私が死ななければお前は生きることができない。/しかし私が死ねば、私が再生する時はお前とともにある。》
今日も仙台は初夏のような暑さで、今夜もシーは玄関先のフローリングの上で寝ています。
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