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ふぅん、とエンゼルは大して関心があるわけでもないようだった。単に人によくある意外な一面程度に思っていた。
「あー、運命の出会いみたいな、そういうの欲しいよねー」
話の流れを半分ほど無視して、アイリアはマイペースに発言する。相変わらず机に体を伏せている。こうもベッタリと伏せていると、胸の方が極めて残念なのがよく分かる。
「あら、それは私との出会いで十分じゃないの?」
「うわお、エンゼルってそういう……」
「は? 何だおい? 私そういうのじゃないけど。ま、男にも女にもモテるのは事実よ」
本気で怒りそうになるのを、自慢で抑えるエンゼル。それをアイリアとニルヴは嫉妬の目で見ざるをえない。
家柄とか、才能とかは勿論のことながら、何よりも容姿で人生のあらゆる種類のシード権を総ナメしていそうな少女。正直嫉妬と表現するのもおこがましいか。
エンゼルは何かを自慢すれば、必ず程度が高すぎるくらいになる。
「ねえニルヴ、どう思う?」
「え? ああ、否定できないのが腹立つなとは思うよ」
「どーゆーことよっ! 腹立てんな!」
3人は、和やかな笑いに包まれた。案外、これが仲良しの友達というものなのかもしれない。
遠くから、紫色の少女はそれを羨ましそうに見ていた。ついこの前までは見向きもしなかった他人の友情を、羨ましく感じていた。
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