Fier: Später reden

3/17
53人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ
 ふぅん、とエンゼルは大して関心があるわけでもないようだった。単に人によくある意外な一面程度に思っていた。 「あー、運命の出会いみたいな、そういうの欲しいよねー」  話の流れを半分ほど無視して、アイリアはマイペースに発言する。相変わらず机に体を伏せている。こうもベッタリと伏せていると、胸の方が極めて残念なのがよく分かる。 「あら、それは私との出会いで十分じゃないの?」 「うわお、エンゼルってそういう……」 「は? 何だおい? 私そういうのじゃないけど。ま、男にも女にもモテるのは事実よ」  本気で怒りそうになるのを、自慢で抑えるエンゼル。それをアイリアとニルヴは嫉妬の目で見ざるをえない。  家柄とか、才能とかは勿論のことながら、何よりも容姿で人生のあらゆる種類のシード権を総ナメしていそうな少女。正直嫉妬と表現するのもおこがましいか。  エンゼルは何かを自慢すれば、必ず程度が高すぎるくらいになる。 「ねえニルヴ、どう思う?」 「え? ああ、否定できないのが腹立つなとは思うよ」 「どーゆーことよっ! 腹立てんな!」  3人は、和やかな笑いに包まれた。案外、これが仲良しの友達というものなのかもしれない。  遠くから、紫色の少女はそれを羨ましそうに見ていた。ついこの前までは見向きもしなかった他人の友情を、羨ましく感じていた。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!