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【少女達のすれ違い】
アイリアは、予想外に苦戦を強いられていた。暴走状態は、それがより激しいものであれば当然暴走する者がより強くなる。その度合いが、アイリアの予測を、遥かに超えていた。
見くびっていた。傲っていた。彼女の眼の前には、青紫色の太い閃光が何度も走る。天才故に、防戦など経験が無かった。
「接近せよ…! 解放! よし!」
それでもなんとか隙を見出し、至近距離から魔法を放つ。解放は彼女の専用魔法であり、得意技。分厚い防壁で全てを拒絶するリイラの肉体にも、ある程度は届く威力。しかし恐ろしいのはそれを喰らってもなお怯まずに反撃してくるリイラの執念。
「嘘だッ! 嘘だ嘘だ嘘だ!」
何度も連呼するリイラ。アイリアには彼女の周りに黒い瘴気が見えた気がした。
多分この様子は見られてるよね。瘴気は皆に見えてるのかな。ふとそんなことを考える。眼の前のことを考えすぎているあまり、この戦いが周囲に被害を及ぼしかねないことには気付いていない。それをエンゼルがなんとか食い止めていることにも。
初めてそのことに気付いたのは、下からこんな声が聞こえた時のことだった。
「勝手に暴れすぎんなこのバカァーッ! 偉い騒ぎよこっちは! 聞いてんのかオラァーッ!」
この、優雅な声に見合わぬ汚い言葉使い。アイリアは別の脅威の訪れを感じた。
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