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しかしながら、だんだんと当然のことながら厳しい状況にはなる上、アイリアとエンゼルのぶつかり合いも膠着してくる。
なんとか状況を好転させたのは、何気ないアイリアの一言だった。
「ねえ。一体あたし達、何しようとしてたんだっけ? 忘れちゃったよ」
「え? ……あー、そういえばそうだったわね。あっちが主目的だったわ。あんまりイライラしてたから忘れてた、ごめんね」
エンゼルの何気ない一言は、普通なら状況を悪化させるだろう。しかし、忘れられていた本人は暴走状態。そんなことにいちいち動じることはない。
「いつものことだから、気にしてないよ! さあ、いっちょやってやろう!」
「……ったく、いつも通りなんだから。後で覚えときなさい」
二人はリイラの方を向く。少し気を抜いてしまったせいで、また攻撃を始めた。それにしても無尽蔵にも等しいほどに魔力を出しまくっている。リミッターが外れている状態なのだから普段よりはキャパシティも広がっているのは分かるが、流石に負担がかからないか?
再び状況は膠着する。余計な戦闘をし過ぎたせいで、そろそろ疲弊してきている。
「エンゼル、大丈夫?」
「余計な心配はしないで、って言いたいけど……ヤバいわ。蝶の球体の中に、リイラを閉じ込めたから……時間を稼ぐから、とにかくすぐ解決する方法を考えて! そろそろ……限界っ!」
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