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そんなことを言われても、急には思いつかない。できる限り頭をフル回転させるアイリア。しかし思いつかなかった。過去にキッカケを求めてみた。何もなかった。周囲にキッカケを探してみた。何も起こせなかった。
「ええと、えーと、エート、エエト、えっと、えーんーんーと、あー、あー、あー、んーーーー」
傍から見れば、これはエンゼルよりアイリアの方が苦しんでいる。そのくらい、頭を動かしまくっても、何も起こらない。起こすものが思いつかないのだ。
「早く……っ!」
「分かってる、分かってるよー、あたしが頼りなんだもんね、まだ時間はある、僅かでもある──ん、ん、んんんんんぁぁああ! もうッ!」
こうなったらヤケだ、と力を込めて見る。するとアイリアの手に黒いものが出てきた。リイラから出ていた瘴気とはまるで異なるもの。あんなイメージらしいものではなく、そこに確かに物体があるかのような確かさ、質量感がある。そして何より、この「闇」は、光を──すなわち、リイラのレーザーを──吸い込んでいた。
「へ!? へ!? ちょっと怖いよエンゼル! 何コレ! どうしちゃったんだろう!?」
「これは……?いや、考えるのはやめとくわ。チャンスを作れたのは確かだもの。とにかく間に合ったの」
遂にこの力を見せたアイリアに、エンゼルは何とか冷静なふりをして答えるが、アイリアと同じくらい困惑していた。
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