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「間に合った、って……」
何をそこまで恐れるのか。アイリアは自分にとてつもない力があると知り、それを畏怖している。萎縮してしまっているようだ。
「今重要なことはそこじゃない、でしょう? さあ、最後の仕上げ! 私達の出る幕は終わりよ、ってゆーか、貴女は出しゃばりすぎ。出る幕ぶち破ったじゃない。とにかく、ここは下に居る男共に任せるわよ。サインは私が出す」
アイリアの手元に集まるレーザーだけが飛び出た蝶の球体を消して、その蝶を使ってエンゼルは下に合図を送る。
リイラは完全に疲弊していた。暴走状態ゆえに無制限に動き続けるものと思われたが、限界が来たのか、それともエネルギーまで吸われたゆえか。ともかく、少し落ち着ける状況にはなってきた。
全員が合流した頃には、アイリアの状態もすっかり元通りであった。しかしこのことが気になりすぎるアイリアは、ずっと自分の手を見つめたまま、呆然としていた。
その様子を周囲の者は特に気にかけなかった。急に新しい魔法が使えるようになって驚いているのだと思っていた。この魔法についてよく知らないがゆえに、軽く考えていた。
しかしながら、そんな彼女を興味深そうに、そして期待の込もった眼差しで見つめる者が居た。それは他でもなく、アプフェルドルン校長であった。
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