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それよりも、だ。私はお前に質問しておきたいのだ。
「……なんて言うかさ、キミって本当に合うたびに馴れ馴れしくなってない? お友達のつもり? 昔からの付き合いのつもり?」
昔から付き合うことは決まっていた。まあそれはいいじゃないか。質問だ。
彼女……リイラは、救われたと思うか?
「さあ……多分、そうだと思うけど。でも、今思えば、会長さん──お兄さんに、依存してた方が幸せだった、なんてことにもなるかもね。でもそのうち、これで良かったんだとも思うことになるんだと思う。あたしは」
そうか。
そうだな。彼女は、救われている。それでいいんだ。
「もしかして、キミにも悩みっていうものは……」
ない。あるわけがない。私には迷いなんて要らないのだ。前を向くことこそが私にとって常に正しいことなのだ。
「そ、そうだね! ごめんごめん……ってなんであたし、謝ってるんだろ。変なとこで謝っちゃってごめんね」
意味がわからない。全くわからない。何を考えて喋っているのか。
まあ、謝れば大抵のことは何とかなるのだろう。お前達の世界とはそういうものだ。謝っておけば普通はどうにかしてもらえるんだろう?いい世界だ。実に。
「急にどうしたの? 大丈夫?」
大丈夫だ。なんだかんだ、お前も私に親しみを持っているんじゃないか? その態度は。
それと私の気分でこんなことを言ってすまないが、イライラしてきたからそろそろ撤収することにしよう。いい夢を見るんだ。
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