Fier: Später reden

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「そういうことですか、でもね。失礼を承知で言わせてもらいますとね、トイフェル先生は見ての通り人格にだいぶ難があるように感じられるのですが」 「その辺は大丈夫でしょう。この学校に人格に難がない者が居るとでもお思いですか? まさか……自分がそうとか、思ってないでしょうね」  失礼に失礼で返すとは、なんということか。しかしながら、最もである。あまりにも皆が凄まじくて麻痺しかけているが、言われてみれば。黒先生は何も言い返せなかった。  アリエルはそんな言葉など全く聞かず、文書を眺めていた。どこか困った表情にも見えるし、安心しているようにも見える。 「……ふぅ。やっぱりこの娘が……ま、そうよねぇ。自慢の娘が何の原因もなくそこら辺の才能があるだけの奴に負けるはずない。ありがとうございます、校長先生。これ見ないと私納得できなくって……」 「常に一番であり続けることを強いるのも良くないことですから、元から思い悩むことでもありませんでしたがね。事実、本人は納得している様子です。ただ……旦那さん、受け入れてますか?」  そこですよ、と言いながらアリエルは首を横に振る。名門には名門なりの、縛りや悩みというのがあるのだが、どうもエンゼルの父というのは縛りとしてきついらしい。 「じゃ、それも考えの内に入れたプランをここで提示させていただきます」
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