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「ああ、じゃあ俺がここまでの地位に上り詰めてもなおトイフェル家のどのパーティーにも呼ばれなかったのは……」
「そーんなの、なーんか嫌だったからに決まってるじゃないの。アナタみたいなおかたーい人はね、私達お呼びじゃないのよぉ。ウフフ」
やはり嫌らしすぎる。人格に難あり。ありあり。黒先生の表現力ではどこがどう難ありなのか表現できないのも彼を苛立たせていた。
しかしその苛立ちは、一瞬にして消えることになる。
「黙らっしゃい。今話しているのはとてもとても、とぉっても重要な計画です。ふざけているのではない。事の重大さは貴方達には理解できないでしょうがね、私は結構久々に人と本気で接してるんですから」
校長にしては珍しい、凄みをきかせた声。最後の一言も、あながち嘘ではないように思えてくる。いや、この校長は何しろ結構な頻度で嘘をつくので、やはり嘘かもしれないのだが。
しかし本当だとするなら、それは結構な珍しいことである。人生をジョークで歩んでいるかのような人物が、人と本気で? 全く、どんな風の吹き回しだろうか。
「……真剣に、読んでください。質問はいつでも、いくらでも受け付けましょう。ただし内容次第では問答無用とします」
こう校長が言うときは、大抵ただの問答無用で従えという命令である。そして、ここにおいても実際にそうなのだ。
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