Fier: Später reden

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「校長先生……ちょっと、あたしに個人的に近付こうとしてません? 向かい合ってじゃなくて、横並びにわざとなってません?」 「やはり、バレましたか。まあ、その通りです。やっぱり色々気になっちゃいますから。どんなことを考えて生きてるのかとか、近くで見たくなりますから」  アイリアの中には、当然のように嫌悪感が湧き出してくる。どうもこの校長は人の嫌悪感というものを煽ってくる。それが無意識なのか、意図的なのか。おそらくは後者である。アイリアは本能的に察知している。もちろん、その本能が悪意を拡大解釈するものであるのなら話は別だが。 「ところで校長先生って、怪奇現象とかには詳しかったりするんですか?」 「うーん、どうでしょうね。知らないことはほぼ無いと、そう自負してはいますが、前例のないものは流石に知りませんよ」  アイリアは少し間を置いた。これは話してもいいことかどうか、何度も何度も自問自答し、全てを肯定で返して声に出す。 「リイラとあたしが交戦したあの日。あたしから黒いものが出てくるのを、校長先生も見たはずです。あれは何か、というのは知っていますか?」 「ああ、あれですか。ええ、知っています。全ては話せないにしても、それなりに情報は提供しましょう。話す事自体が犯罪であるために伏せねばならぬこともありますが」
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