Fier: Später reden

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「星の……力」  どこかで聞いたような言葉。あれは、どこだったっけ。そうだ、この前校長先生は同じことを言っていた。アイリアは記憶を辿って既知による違和感を捉える。 「そう。重力を操る魔法というのは、闇の力無しでも実は可能です。ただ、本校もしくは名門大学で、魔法を詳しく学ぶ者しかその扱いは知りません。なぜなら、重力とは星の力であり、極めて大きな影響力を持つ(クラフト)であるからです。しかしこの闇とは、物質的には宇宙の暗黒そのものです。すなわち、その内に星の力を秘めているために、こういったことがローコストで可能なのです」  アイリアは、校長の話を声も出さずに興味深そうに聞いていた。興味深そうなのだが、その表情にはやはり、恐怖がこびり付いていた。 「あとは、光が無いことを闇という。そういう使い方もあります。暗闇を作るということですね、それも明かりでは照らせぬ暗闇」  直後、窓の外の風景が黒く染まる。別の窓を見ると、真昼の日差しが見えた。  しかし黒く染まった窓は、何もその風景に変化を生じさせる様子がない。ひたすらに暗黒が広がるのみ。 「ところで、この前のダークマターの話。覚えてますか?」 「ええ、あ、はい。確か、ダークマターと魔法の起源が関わっているのなら研究は詰まるとかなんとか」
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