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【Die Verzweiflung】
ようやく。ようやくか、闇を自覚したのは。
「そんな能力、別に欲しいわけじゃないんだけど。なんか悪者みたいで嫌だし」
そんなことを言ってくれるな。私とてこの力を好きでいるわけではないさ。むしろ憎しみすら向けている。だが、便利だ。利用してやる価値はある。
「そりゃあそうだけど? でもなんだかイヤっていうか? 抵抗はあるでしょ?」
イヤなことも、そのうち抵抗は無くなってくるものだ。イヤなまま。お前が学校に通うのだって、そんなものじゃないのか? そんなに好きで通っちゃあいないだろう?
「う。やっぱりバレてる」
恥ずかしいことではない。お前のような人間はむしろ嫌っていて当然。だが、抵抗はないだろう?それと同じだ。そのうち軽い気持ちでどんどん使えるようになっていく。愉しくなっていく。
「未来のことなんて知らないよ。あたしは今が本当に恐ろしいんだよ」
今のことなど知るか。最終的にそうなればいいのだ。わかるか?
「最終的に。最終とは、どこのことなのか。それの答えはどこにあるの?」
……頭のいい返しをしてくるな。そうだな、確かにそうだ。全ては染まりゆく過程。
待っている。こちら側で、彼女も待っている。
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