Fier: Später reden

17/17
前へ
/136ページ
次へ
【Die Verzweiflung】  ようやく。ようやくか、闇を自覚したのは。 「そんな能力、別に欲しいわけじゃないんだけど。なんか悪者みたいで嫌だし」  そんなことを言ってくれるな。私とてこの力を好きでいるわけではないさ。むしろ憎しみすら向けている。だが、便利だ。利用してやる価値はある。 「そりゃあそうだけど? でもなんだかイヤっていうか? 抵抗はあるでしょ?」  イヤなことも、そのうち抵抗は無くなってくるものだ。イヤなまま。お前が学校に通うのだって、そんなものじゃないのか? そんなに好きで通っちゃあいないだろう? 「う。やっぱりバレてる」  恥ずかしいことではない。お前のような人間はむしろ嫌っていて当然。だが、抵抗はないだろう?それと同じだ。そのうち軽い気持ちでどんどん使えるようになっていく。愉しくなっていく。 「未来のことなんて知らないよ。あたしは今が本当に恐ろしいんだよ」  今のことなど知るか。最終的にそうなればいいのだ。わかるか? 「最終的に。最終とは、どこのことなのか。それの答えはどこにあるの?」  ……頭のいい返しをしてくるな。そうだな、確かにそうだ。全ては染まりゆく過程。  待っている。こちら側で、
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加