プロローグ:Die Konferenz

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プロローグ:Die Konferenz

「まだなのかしら」 「まあ、昔からマイペースだったろ?」  魔法高校の校長室で、二人の教師が話していた。この部屋の主、校長はこの場に居ない。二人を呼び出しておいて、である。  一方で二人もここが他人の部屋であることに全く構うことなく、まるで休み時間の教室の生徒のように談笑していた。だが、時間があまりにも経ちすぎて、そろそろ呼び出した張本人が来ないと困ると二人は感じていた。 「3年間ずっと私が同じ部屋で過ごしてたってのに。信じらんない。校長の器じゃない」 「校長は人格では選ばれないからね、この学校では。まあ、人格面では僕達は皆向いてないよね」  露骨に苛立ちを見せる女性教師を、男性教師が何も気にする様子なくからかってみせる。二人とも20代前半だからなのか、まだ学生気分が抜けてないような雰囲気の掛け合いをする。  それから10分ほどして、やっと校長が部屋に入ってきた。  「ごめん、待った?」だけで遅れに対する詫びを済ませた校長は、二人の教師よりも一回り若く見える──少女と表現してもいい──女性だった。 「待ったどころの話じゃないっての! 私達に話題を尽きさせかけるなんて! あーありえないったらありゃしないわ! もう!」
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