Web恋🧡好きと言えたなら

呼び捨て

そんな生活が1ヶ月ほど経っていった。
だんだん、夜ふかしもするようになってきた。

結構、仕事が辛い日々も続いていた。

それでも楽しくて配信を楽しみにしていた。

彼の配信に行くと
「萌湖さん、いらっしゃい」
といつも明るい声で迎えてくれる。

それは誰に対してもなんだけどね。

ある日、彼が常連のリスナーを呼び捨てにしているのを聞いて
「いいな♡」
って思うようになった。

きっとこの頃から
彼の事を特別な存在に思えて来たのかもしれない。

私は思わず
「さんはいらない。呼び捨てでイイよ」
って言った。
彼は
「わかった。じゃあ呼び捨てにするね」
と言って呼び捨てになった。

でも
さん付けで呼ぶ日の方が多かった。
私はそれがちょっと寂しく思えた。

ある日の真夜中、
なかなか眠れず、スマホを手にした。
すると彼が配信をしていたのだ。

寝落ち枠とか言って朗読をしていた。

私が入った時は配信時間終了が近づいていた。
私は少し、がっかりした。
その時も彼は　
「萌湖さん、いらっしゃいってかもう終わっちゃう」
と声をかけた。
やっぱりさん付けだった。

配信用のTwitterで繋がっていたので
彼にDMを送ってみた。

それは彼に読んでほしい言葉だった。

【眠れる夜】

お空がキラキラ輝きはじめて

“今日”の終わりが近付けば

そろそろ眠りにつきましょう。

貴方の今日がどんな一日でも

それは貴方が必死に生きた一日。

今日も一日、お疲れ様でした。

ゆっくり瞼を閉じて、また明日。

中々眠れない日には…そうですねぇ……。

羊を数える、なんて言うのがありましたね。

羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、

段々と数を増やして行って……

どうでしょう？眠く、なってきましたか？

それから、

何か、貴方の好きなものを聞いてみる、

というのはどうでしょう？

音楽、ラジオ、もちろん“〇〇”なんかも。

画面を見ると目が冴えてきてしまうので

音声だけで楽しめる物がオススメですかね。

さて。だいぶ、夜もふけて来ましたね。

そろそろこれも、お終いにしましょうか。

瞼を閉じて、微睡んで、ゆっくりゆっくり、夢の中。

明日も、貴方なりに、

貴方のペースで行(生)きましょう？

きっと、大丈夫。

だから今日は、おやすみなさい。

また、明日。
⇢⇠⇠⇢⇠⇢⇠⇠⇢⇢⇠⇠⇢⇢⇠⇠⇢

彼にこれを送ってみた。
すぐに既読になったけど返事はなかった。
私はきっと迷惑だったんだろうなぁ〜
と思った。

次の日
『ごめーん。送信ミスで遅れてなかった』
と返信が来た。
『突然ごめんね』
と私が言うと
『迷惑じゃないよ。萌湖さんありがとう。どういう形でやるか考えるね』
って言ってくれた。
私はおもわず
『さん付けじゃなくて呼び捨てイイよって前に言ったよ』
と彼に伝えた。
『あっOKOK、ごめんね。そうだったね』
と言ってくれた。

それからは彼の配信に行くと
いつも呼び捨てにしてくれた。

ちょっとずつ彼に近づいた気がした。