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「なあ……俺たち本当に南西へ向かって歩いてたよな?」
「間違うわけがない。ちゃんと琵琶湖を背に歩いてきたはずだ」
二人の足はある場所で止まっていた。
「じゃあ、なんで湖が目の前にあるんだ?」
二人の目の前には、大きな大きな水溜りが広がっていた。
「池って、言ってたよな?」
「確かに、池と聞いたな」
「どう見てもこれ……池、か?」
二人の知る『池』は池の向こう側(反対の岸)までぐるりと目ではっきりと見渡せるものだったのだが、この大きな水溜り、肉眼でははっきりぐるりと岸が見えないでいた。
「だが、琵琶湖とは景色がまた違うぞ」
「それはそうだけどさ……」
二人は琵琶湖のある近江国出身ということもあり、琵琶湖の風景には馴染みが深い。
それゆえ、なんとなく違いに理解ができた。
「とりあえず、南側に行こう。これが池なら、そこに神社があるはずだからな」
二人は湖のような『池』と思われる巨大な水溜りに沿って、南側へと向かった。
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