神社と池

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 時は1579年、天正7年。  京の都より南方、山城国に2人の若い男が歩いていた。  20くらいの見た目の青年は小袖に袴を身につけ笠を被り、腰には脇差を差している。  もう1人は元服前の少年のようで、刀は差しておらず、首元を隠すように布を巻いている。  一見、旅人のようにも見える2人だが、どこか遣いでやってきた使者にも見える。 「ここは随分のどかだな」  男たちが歩くその道は周囲に田畑が広がる農道であった。  農作業をする村人たちの姿がポツポツと見え、鳥や虫の鳴き声が聞こえてくる。 「この先だっけ?殿が言ってた神社って」 「ああ。もう少し歩けば池が見えるはずだ」  彼らは或者からの命でここに赴いていた。
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