番外1話 仁人

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番外1話 仁人

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「人を思いやり、助け合い、生きて」 俺の「仁人」という名前には そんな意味が込められていると聞いた まあ 今や「どちら」から聞いたことか 知る由もないが 神崎 仁人 4才 幼稚園年少 この時点で 幼稚園卒園レベルの教養 筋力を取得 「じんとくんかっこいいー」 「おれもあんなふうになりたーーい」 異常なその能力に 周囲の人間は恐れおののき 憧れていた その能力は 大人も一目置くほどだった ただ一人を除いて 茶色い髪 幼馴染の女の子 神堂 佳奈だった 質実剛健 眉目秀麗 完璧超人 正直 同年代の人間から何を言われようとも何も感じなかった 自分の中では それが「普通」だと思っていたからだ 自分が出来ることを褒められても 何も感じなかった だが 佳奈だけは違った 彼女もまた俺と同じ能力を持ち また同じ感情を抱いていた 違うところと言えば 人付き合いの上手さだろうか 俺には友達などおらず 自分でも必要だと思っていなかった それに対して佳奈は 幼稚園の子供全てと友達なのではないかと思うくらい仲の良い人が多かった その友達の中に俺も含まれていたのだろうが 別に何も感じなかった ちなみに 佳奈に一番憧れていたのは 何を隠そう 軽井沢だった 「じんどうさぁん、おれとつきあってくれぇ」 そんな声を毎日のように聞きながら 俺らは幼稚園を卒園した ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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