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Lesson 3
「おい、モグ?」
「ひゃあっ!?」
突然肩をたたいてきたのは、兄のフィンだった。
僕よりももっと驚いた様子で、ふたつの碧眼をめいっぱい見開いている。
「なんだよ、そんな驚くことないだろ?」
「そう思うなら突然声かけないで」
Sorryと不可解な表情のまま肩をすくめてみせ、フィンはあたりを見回した。
「こんなとこでなにしてんだ?」
「ちょっと買い物にね……」
「さっきのってヒジキだろ? 父さんの秘書の」
「ああ、うん」
「なんでお前がヒジキと一緒にいたんだよ?」
「この間から彼に英語を教えてるんだ」
「英語を? モグが? なんで?」
「なんでって、頼まれたからに決まってるじゃないか」
「頼まれたってヒジキにか? くだらないウソついてんなよ」
「なんで僕がそんなウソ吐かなきゃいけないんだ。本当に頼まれたんだよ! あ、そうか!フィン、君、うらやましいんだな! ヒジキが君じゃなくて僕に頼んだから!」
「ばかッ、そんなんじゃない!」
「ぁいだっ」
「だいたい、今さらヒジキに英語の勉強なんて必要なんてないだろ」
「えっ? どういう意味?」
「お前知らなかったのか? ヒジキは……」
えぇっ?
それって、いったいどういうこと!?
***
翌朝、僕は怒っていた。
いや、怒ってるのとは違うけれど……なんとも言えない感情を抱いて怒って……あ、いや、怒ってはいな……と、とにかく!
ものすっっっっっごく、モヤモヤしていた。
「ヒジキ!」
「あ、モグさん! グッドモーニン……」
「Why did you lie to me!?」
「……え?」
「なんでウソなんて吐いたの? 君、英語しゃべれるんじゃないか!」
しかも、その英語力を買われて社長秘書に抜擢されてたなんて!
なんでフィンが知ってるのに、この僕が知らないの!?
「あ、え、あの……ご、めんなさい、モグさん……」
「No! 僕は怒ってるんじゃないよ。でも、理由は知りたいな」
「……っ」
「Why did you lie to me?」
「……Because……」
「Because?」
――Because I wanna be with you.
fin……と見せかけて、おまけに続く☆
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