わたしと店長さん

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 ダメ元でカフェの前を通ってみたが、やっぱりランチタイムは終わってしまったみたいで『準備中』の札が下がっていた。スマホでミルクティーの淹れ方を調べながら駅前のスーパーに向かう。茶葉はあったはずだから、牛乳と角砂糖が手に入れば、自宅でも飲むことができるだろう。 「あああっ」  最後の一本だった牛乳を手に取った途端、後ろから大きな声が聞こえた。振り返ると、ガタイが良くて強面のお兄さんがわたしのカゴの中の牛乳を恨めしそうに見つめていた。 「その牛乳どうするんですか?」  お兄さんはわたしに一歩近づいてきた。  なんなのこの人。デカいし、顔恐いし。牛乳どうするって、飲むか料理に使うかに決まってるじゃん。いいじゃん牛乳くらい。早い者勝ちでしょって言いたいのに、それが出来ずにただただ見上げてしまう。 「あの、わたしはどうしてもミルクティー飲みたいんです。だから、牛乳必要なんです……」  かなりの低姿勢で反論してみると、お兄さんはこれまた大きな溜息をついた。恐怖に震えながら、わたしは牛乳を守るようにカゴを体の後ろに隠した。
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