【自転車置き場】

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【自転車置き場】

ガチャガチャと、 自転車の鍵をいじってたら、 「ぶりぶりかなーん♪」 と、またもや、 わたしを呼び止める声。 も、それ、やめろや、と 何度も言ってる!! ジト目で振り返るとリクがいた。 「あのさ。それ、やーめーて! おならすな!」 「は?なに、言ってんの?? 自分の名前使われたて、 思ってんの? 自意識過剰じゃね?」 と、笑いながら 反論してくるやつに、 「待って待って?! ぶりぶりは、 自意識過剰とかじゃないわ?! 普通にやぁだーー!! 女子に言う言葉じゃないもん!」 と、膨れてみせると、 ケタケタ笑いながら、 「ごめんね♪かーなん♪」 と、機嫌をとってきた。 リクは吹奏楽部で、 校舎裏の運動部とは疎遠なはず。 吹奏楽部の部室は、音楽室の横で、 練習場所は、どっかの教室でしょ? なんで、こんなとこにいるの? と名前をいじってきた奴をみた。 「ごみ捨て!ごみ捨て!」 事を察したらしい彼は プラスチックのゴミ箱を ブンブンしながら、言った。 振り回してるものから、 なにも出てこないとこをみると、 すでに、 中味は捨て済みだった。 「かなんは、 ちゃちゃまるずし?!」 「わ。フルでいうなー」 と、フルネームで言われた、 バイト先の名前がかわいくて、 思わず笑った。 うちの学校は、 バイト禁止ではない。 わりと緩めの普通の私立だ。 特進でもないし、 日頃からゴリゴリに勉強してる わけでもない。 部活に入る気もなかったので 学校生活になれた頃合から、 これから、向かう〔ちゃちゃ丸ずし〕で、 バイトを始めた。 もう、かれこれ、 半年が過ぎていた。 リクと歩きながら 今日の課題や、 次の委員会の話、 あとは、雑談を交わして、 校門に向かう。 「今日は、何時まで?」 「混まなかったら9時まで。」 「平日は、ひまじゃね?」 「ちゃちゃは、ありがたいことに繁盛してるよ!」 「まじかー!がんばれな。」 「うん、ありがとう!」 「また、連絡するわ。 気をつけてなー!」 程よく、会話も 落ち着いたところで、 リクとわかれた。 時間も、ちょうどいいくらい。 学校から、自宅の中間地にある、 バイト先は、自転車で10分くらいのとこにある。 校門まで自転車をおし、 出たところから、それに乗った。
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