【お姉ちゃんの彼氏】

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【お姉ちゃんの彼氏】

さて。 この時間帯は 嵐の前の静けさで、 バイトのフロア係としては、 ちょっとしたフリータイム。 お醤油や、湯呑みの備品を片付けながら、 お客様からコールがあれば、 対応みたいな感じだが、 お客様は、 彼を含めて、2組だけだった。 「いらっしゃいませ。」 と、店員スマイルにし、 タブレット触りながら、 ポテトを食べてる彼にご挨拶した。 ちょっとマッシュな、 どちらかと言えば、ふんわりタイプ。 気の強いお姉ちゃんの相手は、 このヒトで、出来てるの? と思わせるオトコノヒト。 「あ。かなちゃん、 学校終わったの? おつかれさまだね。」 「・・はい。」 彼は、もぐもぐと、 ポテトを咀嚼(そしゃく)していた。 「 海人(かいと)さん、 ポテトおいし?」 と話しかけると、 その内の長めの1本を、 私にむけてきて、 「あーん」 と、言ってきた。 これ…このやり取り、 もう、慣れたから。 そんな気持ちを合わせて 首を横に振ると、 いつも本気で 残念そうな顔をしてから、 自分の口に そのポテトを入れる。
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