【お姉ちゃんの彼氏】

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海人(かいと)さんは、お姉ちゃんの彼氏だ。 ここ最近、 なんか、この時間帯に 店へやってくる回数が増えていた。 「海人さん、学校は?」 「午後から、空いた。」 「バイトは?」 「8時くらいから?」 「なんで疑問形?」 「なんとなく?…」 会話が詰むと微妙な空気が流れる。 容姿端麗…?なのかもしれない。 ダルいTシャツに、ボサボサ頭。 シワの入ったチノパン。 全体的に 線が細くて、 シュッとした顔立ち。 髪は、 ボサボサなのに、サラサラで ちょっと光が入ると、金髪入りに見える。 違和感のない雰囲気。 お姉ちゃんは、 このヒトの容姿で 彼氏認定をしたな、と わかるくらい、 お姉ちゃん好みの雰囲気だ。 だけど、話すと ちょっとだけ、 この、中途半端な性格がいただけない。 「かなちゃん、 俺のママみたい。」 「いや、それはないです。 そもそも、 私の方が5歳も、 年下デスカラ、 ママ設定に無理があるかと、 思われます。」 と、キッパリ、お断りしたら、 茶色のビー玉のような 細い目をさらに細めて、 口を抑えた。 「わたし、 何もおもしろいことは、 言ってないと思いますが?」 と、念の為、 聞いてみたら、 今度は 声をしぼって、、笑いだした。 あ。 このヒト、ツボったら、 笑いが止まらないヒト。 「ごめっ、、あー、いや、 鈴音(すずね)と違うなって。」 「お姉ちゃんと違います。」 「ごめん、ごめん?!? ・・クっ・ 」 笑いをムリに堪えてるの、 ダダ漏れ。 無理してるから体まで曲げて、 テーブルに突っ伏した。 何が面白かったんだか、 と、思った時 ピンポン♪ と、ホールに音が響いた。 お客様に呼ばれた。 なので、 笑い倒してる海人さんへ 「わたし、行きますね。」 とだけ、伝えて、 背を向けたら、 「・・さみしいな。」 と、笑いの止まった声が、 ポツリと聞こえて 主の方を見たら、 やっぱ、 テーブルに突っ伏したままだけど、、顔だけ、こっち向けて 「がんばってね。かなちゃん。」 と、さみしそうな笑顔を見せた。
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