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【下校時間】
下校時間は、
校内のあちらこちらが
わちゃわちゃしてる。
声と足音と、物が動く。
部活や
それぞれの委員の役割で
動きだす子、
補講に向かう子もいれば、
猪突猛進で、
下足箱に向かう子もいた。
もれなく、
わたしも、
バイトに向かわなきゃ!!
「かなー!今日バイトー?」
教室を出て、
廊下を走り出そうとした瞬間。
そのタイミングに合わせて、
中学の時から一緒の
脚長スレンダーの
モモカが叫んできた。
中身を抜いて
軽めになったかばんを
ぶーんと持ち上げて、
「ちょっくら、稼いでくる!」
と、両手で、
大きく○した。
モモカが、大きくうなづいて笑った。
彼女は、これから、たぶん陸練だ。
「「いってらーー!!」」
目を合わせて、
ふたりで叫ぶ。
これは、
てっぱんの、お別れ挨拶。
それから、
走り出して向かうのは、
校舎裏の自転車置き場だ。
わちゃわちゃの間をすり抜けて、
校舎裏の部室へ向かう
運動部軍団の流れに紛れ込み、
目的地の自転車置き場で
赤色の愛車を探した。
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