[目覚める。]

1/4
前へ
/28ページ
次へ

[目覚める。]

 耳元で雨音が響く。  耐えかねて目を覚ましたが、カーテンが孕む光は夜明け直後のそれだった。まだ寝ていられたのに。腹立たしいことこの上ない。  枕元を手探りし、ラッキーストライクに火をつける。  カーテンを開いても、窓を雨粒が這っているわけではなかった。ではあの雨音は、夢だったのか。  とはいえ、この街で生きるということは、いつでも雨に晒されているようなものではあるが。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加