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蓉子の思惑は的中で
建設現場には様々な人が訪れ、
次の住宅注文も、女子服の
問い合わせが殺到、
「奥様はホントに頭の
良い方だから…」
志保は単純に感心していたが
(頭…というより
感が優れている)
春紀は思っていた。
なぜならば
「今夜は二人で夕食を
外でしてきたら?
樹くんはウチで
一緒に食べさせるから」
何気なく…さり気なく…
“方向”を向けてゆく。
しかも、その日に限っては
白いブラウスと紺色スカートでなく、
上品な藤色の、いかにも
上流夫人というような服を
志保に着ていくように指示、
夫の芝山までも
「銀座の洋食屋、手配済」
などと、春紀に耳打ちする始末。
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