春を待つ日々

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賑やかな子供達の声が 止んでしばらくすると ギギと開いた御堂の扉…。 即隆にはそれがたま子と 判っているから 「たまちゃん?どうしたの?  早く降りなきゃ陽が暮れるよ」 「今、いくう」 それらの声と子供等の 石段を降りる足音が 消えるのを、静かに待っていた。 「今日は飴玉か…」 この間は蜂蜜の瓶が供え物…。 「初めて手渡してやれるのう」 春紀からの手紙で十一月の頭、 春紀が大阪へ来ることを知り、 大阪での寺の用事を上手く兼ねて 春紀と落ち合うことにしていた。
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