春を待つ日々

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「仕事はどうや?エラい(とても)  有名な建設会社らしいなあ」 「まだまだですが、社員の勢いが  ありますね、社長(芝山)は  人を使うのが巧いから」 春紀はここ最近の仕事の話と 「建築士の資格の勉強も始めました」 今後の計画を話した。 「よかった…よかった…」 一つ一つに優しく頷く即隆に 「それと…結婚しようかと…」 志保親子の写真を見せた。 「おお!!」 山中で霧の晴れ間を見つけたような 即隆の顔に、春紀はまるで 親孝行でも出来た気に…。 「別嬪さんやなあ…」 溢れる涙を誤魔化すように 即隆は何度も笑いながら言った。 「たま子と同い年の息子(樹)を  得たことも」 「そうや…仏の導きや…」 春紀の目からも涙がポロリと ・・・・・落ちた。  
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