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即隆を宿へ送った春紀が
天満屋に戻ると、二人程の常連客と
あと数人は芝山の会社の人間だった。
(そう言えば…)
いつも奥の机で独り、静かに呑む男性。
“男”と言うには失敬にあたる様子の
上物の着物が板についた男で
一言二言女将と言葉を交わす以外は
肴一つに手酌が似合う。
(どういうひとなんだろう)
春紀がそんな事を思いながら
正のいる席へつこうとすると
「遊びならエエ加減にしぃや!」
厳しい女の声がした。
声の主は、この店の娘の一人・みどり。
「茜は本気なんや!
浮気相手の数の内なら
ヤメたってや!!」
言われている正は
ぬるいビールのグラスを持ったまま。
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