春を待つ日々

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「これはこれは…  どうぞ、おあがりやして」 衣玖に招かれて 「縁側から入るで」 即隆は草履を脱いで 籐の椅子に腰掛けると 「いらっしゃいませ」 かず子が熱い茶と菓子を。 「ハイカラな菓子やなあ」 「たま子の英語の本にあった  焼き菓子を、見様見真似で  やってみました」 「『アメリカあかん』から一転  『アメリカ粋』へなあ、ハハハ  世の中…面白いわ…。  ん?ん…『アメリカ美味いな』」 そんな世間話が途切れ、 即隆は風呂敷を 座敷の膳に置いた。 「大阪土産や」
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