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即隆が帰ったあと…
自室へ戻ったかず子は
もう一度…木箱を見た。
なんの変哲もない木箱…
でも…押入れの奥から
別の反物が入った木箱を出した。
(そっくり…)
その木箱には、昔、
亮一(春紀)がくれたまま
仕立てることなく仕舞ってあった
浴衣生地が入っていた。
結婚の約束をした日に
亮一が買ってくれたもの。
(反物の木箱なんて
どれも同じなのに…)
自分がどうかしていると…
かず子は思った。
けれども…
何の後ろめたさのせいなのか、
浴衣の木箱同様に
押入れの隅に片付けて、
亮二には銘仙の反物だけ…見せた。
![2dca3560-0693-4641-aaa6-cf272c5a8a7c](https://img.estar.jp/public/user_upload/2dca3560-0693-4641-aaa6-cf272c5a8a7c.jpg?width=800&format=jpg)
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