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即隆和尚が留守の間、
寺の修築の段取りに
本堂を視ていたときだった。
何体かある仏像の箱が
「新しいか?」
疑問に思って手に取った。
「 ? ! 」
材と材との継ぎ目のクセに
見覚えがある。
「こりゃ…亮一の手やないか?!」
瞬時に言葉が出たけれど
(わしは…何を戯けたこと…
出征前にでも亮一が…)
自嘲するも
(出征前にしては
新しすぎやないか…)
……そんな堂々巡りの数日。
それらは、春紀(亮一)が
帰還した折の…隠れ暮らしの
慰めに作った数個だったのだ。
もし、ここで…かず子の隠した木箱を
亮輔が見ていたならば
必ず亮輔は気づいていただろうが…。
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