春を待つ日々

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また正月がきた。 「この春は調布への  大規模移動があるから  忙しくはなるが、より一層  鼓舞して、邁進しよう!」 芝山邸での新年行事。 乾杯のあとは進む酒坏。 0c4f2914-0f47-4dd1-9acd-eeee453bd02e 「この屋敷も見納めか…」 「ここはホテルになるらしいぞ」 皆で噂していると 「的確には“結婚披露”や  会社の社交場かしら」 「若い社員の発案でね。  やらせてみることにした。  まずは宣伝がてら…」 蓉子と芝山は、克也・寛子を指して 「二人の式を洋式に」 それから、春紀・志保を指して 「こちらは和式で」 夫婦で愉快そうに言った。 「こ、こんな立派なところで」 「勿体無くて、私なんかが…」 寛子と志保は恐縮したが 「衣装も宣伝用だし  別にお金はかからないわよ。  噂が広まれば良いの」 蓉子は自分の案に 満足気そうだった。  
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