春を待つ日々

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「俺も大学へ行こうと  思ってるんだけど…  春さんは考えてないのかい?」 正に言われて… 「建築士の勉強も、独学よりも  大学の方が沢山学べるのでは?」 芝山にも言われて… 春紀にも考えるところはあった。  (ただ…社宅があるにせよ、   基本給だけでは、志保や   樹に贅沢をさせてやれない) そんな気持ちが、 どうも拭えない春紀だった。 それでも、 「三人で一つ屋根の下が  一番の贅沢なんです。  食べるものがなかった戦中を  思えば、“未来のための節約”…  どれ程の幸福でしょうか」 最後は志保に、背を押された。  
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